赤ちゃんの肌トラブル代表
「おむつかぶれ」の治し方と予防ケア
おむつかぶれとは、うんちやおしっこの刺激でおしりに炎症ができる、赤ちゃんの代表的な肌トラブルです。赤いぶつぶつができたり、ただれてジクジクしたり。何度も繰り返してしまう赤ちゃんもたくさん!
皮膚科医の原みずき医師の監修のもと、おむつかぶれの治し方や薬について、未然に防ぐために徹底したいホームケアのポイントも併せて紹介します。
おむつかぶれはこんな症状
おむつかぶれは医学用語で「おむつ皮膚炎」といい、おむつが当たっている部分に起こる皮膚の炎症です。
赤ちゃんの肌は薄くて角質層のバリア機能が未熟。外部刺激の影響を受けやすい特性を持っているため、おむつかぶれを起こしやすいのです。
ほとんどの赤ちゃんが、 一度だけでなく何度も経験してしまいます。
こんなときは「おむつかぶれ」のサインです!
肛門の周りがうっすら赤くなってきたら、おむつかぶれ初期症状のサイン。
かゆみやヒリヒリとした痛みがあるため、
赤ちゃんがおしりに手をやって気にしたり、おしり拭きでおしりを拭くときに痛がったりすることがあります。
赤ちゃんからのSOSのサインを見逃さないように、おむつ替えやお風呂の際に、肌状態を毎日チェックしてあげてくださいね。
おむつかぶれができやすい部分
おむつかぶれは肛門周りを中心に、ウエストや脚の付け根など、おむつが当たっている部分に炎症が起こります。
「あせも」とは異なり、くびれの内側などおむつが直接触れない部分はかぶれにくいのが特徴です。
女の子の方が男の子よりも、おしっこが肌に触れやすいため、おむつかぶれを起こしやすい傾向があります。
下痢を起こしているときは、おむつかぶれに要注意!
おむつかぶれの最大の原因は、おむつを長時間替えなかったこと。密閉されたおむつの中で排せつ物や汗による湿気でおしりが蒸れて、皮膚がふやけて傷つきやすくなっているところに、うんちやおしっこのアンモニアや酵素が刺激を与えて炎症を起こします。
特に、おむつの中が蒸れやすい夏場は注意が必要です。
新生児~低月齢の赤ちゃんはおむつかぶれを繰り返しがち
新生児~低月齢の赤ちゃんは排せつ回数が多いうえに、母乳・ミルク育児なのでうんちがゆるゆる~軟便で、どうしてもおむつかぶれを起こしやすいもの。一度治っても、またおむつかぶれを繰り返してしまうことがあります。
月齢が進むにつれて排せつ回数が減り、生後6カ月頃以降、離乳食が始まってうんちがコロコロになってくると、おむつかぶれの頻度もどんどん収まっていきます。
下痢になるとあっという間におむつかぶれに!
また、
下痢を起こしているときは特にうんちの刺激が強いので、すぐにおむつかぶれになってしまいます。
赤ちゃんの体調不良は長引くことも多く、下痢が続くとおむつかぶれが悪化しやすいので、いつも以上に気を付けてあげてください。
おむつ・おしり拭きが肌に合っていないのかも
サイズの合わないキツイおむつを履いている、おしり拭きでゴシゴシ強く拭くといった、 物理的刺激によってもおしりがかぶれることがあります。おむつのサイズは定期的に見直しをしましょう。
特に敏感肌の赤ちゃんの場合は、
おむつの素材が合っていない可能性も。肌への優しさにこだわったデリケート肌用のおむつに替えるのもひとつの方法です。
現代の紙おむつは高機能で吸水性が高く、通気性がよいものばかりですが、赤ちゃんによって合う・合わないがあるため、いろいろ試してみるとよいでしょう。
一般的に、“おむつかぶれを予防する”観点で考えると、布おむつよりも紙おむつの方がおすすめです。
おしり拭きは水分をたっぷり含んだ、厚手の柔らかいものを選んでください。
「肌が弱かったので敏感肌用おむつに」
長男が赤ちゃんの頃は本当に肌が弱くて、普通のおむつではすぐにかぶれてしまい…。少しコスパは悪かったけれど、オーガニックコットンで作られた敏感肌用のおむつを使っていました。
EKさん(1歳の女の子・5歳の男の子ママ)
おむつかぶれの基本のホームケア
おしりがうっすら赤い、小さなブツブツの湿疹が少し出てきた、という
初期段階や軽い症状であれば、適切なホームケアで十分よくなります。
基本のホームケアを日頃から徹底することで、おむつかぶれを起こさないよう未然に予防することも可能です。
おむつかぶれのケアは「 清潔・乾燥・保護」がポイント! 今日からぜひ実践してみてください。
ポイント1.清潔
おむつが濡れたらすぐに取り替える
赤ちゃんがおしっこやうんちをしたら、その都度、すぐにおむつを取り替えてください。こまめなおむつ替えは基本であると共に、最大の予防対策法です。
外出時もできるだけ長時間おむつが濡れたままにならないよう、外出先におむつ替えスペースはあるか、事前に確認しておくとより安心です。
おしり拭きは使わずに、洗い流しましょう
おむつ替えの際に、市販のおしり拭きでゴシゴシこするのはNG。摩擦でおむつかぶれが悪化したり、凹凸に残った目に見えない排せつ物の汚れも残さずすっきり落とした方が◎。
おむつかぶれの初期症状を見つけたら、 おしり拭きは使わず、ぬるま湯のシャワーや座浴で洗い流します。外出先では、霧吹きを使って汚れを落としやすくしたり、ぬるま湯をたっぷり含ませたおしり拭きやコットンで、汚れを浮かして取るイメージでそっと拭きましょう。
「都度洗い流しでおむつかぶれ知らず!」
もともと自分の母親の勧めもあり、外出時を除き、おむつ替えの際は都度沐浴で洗い流すようにしていました。そのおかげもあってか、ひどいおむつかぶれになったことはありませんでした。
SSさん(3歳の女の子ママ)
ポイント2.乾燥
肌が濡れた状態でおむつを履かせると、蒸れてかぶれやすいので、 おしりをよく乾かしてから新しいおむつを履かせます。ぬるま湯でおしりを洗った後は、柔らかいタオルで優しく押し拭きするように水分を吸い取ってください。
風邪を引かないよう室温を調整したうえで、少しの間おむつを履かせずにおしりを空気にさらしたり、うちわなどであおってよく乾かす方法も効果的です。
ポイント3.保護
おしりを清潔にしたあとは、 赤ちゃん用のクリームやワセリン、ベビーオイルなどの保湿剤で肌を保護します。水分の多いローションはかぶれに沁みることもあるので、油分が多い保湿剤がおすすめです。
保湿剤に治療の効果はありませんが、外部刺激から肌を保護すると共に、肌のバリア機能を高めてくれる効果が期待できます。皮膚に浸透させる必要はないので、気持ち多めの量を皮膚の上にペタペタ乗せるようなイメージで、優しく塗りましょう。
「クリームでの保湿ケアを習慣にしたら肌荒れが減った気が」
生後6カ月ぐらいまでおむつかぶれを繰り返していた長男。小児科の健診でアドバイスをもらい、おむつやケアを見直し。お風呂上がりやおむつ替えのときにクリームを塗るようにしたら、肌荒れを起こすことが減りました。
MYさん(生後2カ月の男の子・2歳の男の子ママ)
A.ベビーパウダーとは、トウモロコシのデンプンであるコーンスターチや鉱物のタルクなどを主成分とする粉末。つけるとパウダーが余分な水分を吸い、肌をサラサラにして摩擦を防いでくれることから、赤ちゃんのあせもやおむつかぶれのケアに使われます。
1987年7月、ベビーパウダーに使用されるタルクにアスベストが混入していたことが発覚し社会問題になったことから、「ベビーパウダー=危険」と思っている人が未だにいるようですが、現代ではアスベストが含まれることはもちろんなく、安心して使用することができます。
ただし、
ベビーパウダーは量をつけすぎると、汗腺を防ぎ、かえっておむつかぶれを悪化させてしまうことがあります。適量はうっすら白くなる程度、控えめに伸ばすのがポイント。
適切に使うことでおむつかぶれのケアにも効果的といえます。
(みずき皮膚科クリニック 原先生)
おむつかぶれがひどい、治らないときは病院へ
おむつかぶれに、受診の目安は特にありません
ただれていたり皮がむけて血がにじんでいたり、おむつかぶれの症状がひどい場合は、迷わずかかりつけの皮膚科または小児科を受診しましょう。
ただ、“受診の目安”というのは特にないため、
症状がひどいときはもちろん、初期段階でも悪化を防ぐために受診をしても構いません。
症状に応じて、適切な塗り薬を処方してもらいましょう
おむつかぶれには、軽症であればプロペト(白色ワセリン)や亜鉛華単軟膏が処方されることが多く、炎症が強い場合は弱めのステロイド薬が処方されます。
赤ちゃんに処方されるステロイドは、成分の強さがmild(普通)~weak(弱い)ランクのものが多く、医師の指示に従い、用量・用法を守って使えば問題ありません。適切にステロイド薬を使い、短期間でしっかり炎症を抑えてあげることも大切です。
また、赤ちゃん用であれば市販の軟膏を使っても構いませんが、できるだけ医師に症状を診てもらい、より適切な塗り薬を処方してもらいましょう。
おむつかぶれがなかなか治らない…その症状、カンジダ性皮膚炎かも?
ケアをしているのに長期間治らないときは、カンジダ性皮膚炎の可能性があります。カンジダ菌(真菌)というカビの一種が原因で、おしりや股に赤い小さな湿疹ができてただれる肌トラブルです。
おむつかぶれと症状が似ていますが、おむつが直接触れないくびれの奥までただれていたら、カンジダ性皮膚炎の可能性が高いといえます。
おむつかぶれの薬ではかえって悪化します
カンジダ性皮膚炎の場合、 おむつかぶれの治療で処方されるステロイド薬ではかえって悪化するため、自己判断で使うことは避けてください。おむつかぶれがなかなか治らない、気になることがあれば、病院を受診しましょう。
カンジダ性皮膚炎の治療では、顕微鏡検査でカンジダ菌の有無を調べたうえで、菌の増殖を抑え死滅させる塗り薬が処方されます。通常は、薬を使ってから1~2週間くらいでよくなります。
おむつかぶれとカンジダ性皮膚炎はここが違う!
おむつかぶれ | カンジダ性皮膚炎 | |
原因 | うんち・おしっこの刺激、汗による蒸れ、おむつ・おしり拭きの摩擦。 | カンジダ菌(真菌) |
症状 | おむつが当たる部分に炎症が起こる。かゆみ、ヒリヒリとした痛み。 | おむつが当たっていないくびれ・しわの奥まで赤くただれる。強いかゆみ。 |
治療 | 清潔、乾燥、保護。亜鉛華単軟膏や炎症を抑えるステロイド薬。 | 抗真菌薬 |
ホームケアでおむつかぶれは防げます
「おむつかぶれになったことがない」という赤ちゃんは少なく、多くのママが一度は頭を悩ませるものです。
おむつかぶれになっても、焦らず清潔・乾燥・保護のホームケアを丁寧にしてあげれば、自然と治ることがほとんど。日々のホームケアによって、おむつかぶれを未然に防ぐことだって可能です!
ママにとっては少し負担になることもありますが、赤ちゃんのかわいいおしりを守ってあげるために、頑張りましょう。困ったことがあれば、かかりつけの医師に相談してくださいね。
「お腹の風邪が治るまでの1ヵ月間、おむつかぶれを繰り返していました」
生後6カ月頃、お腹の風邪にかかったときに、水様便の状態が治るまでに1ヵ月かかりました。その間、何度もおむつかぶれになってしまい、おむつ替えの度に薬を塗ってケアをしていました。
MNさん(2歳の男の子ママ)