新生児の皮がむける「新生児落屑」って?赤ちゃんの体の特徴について

生まれて間もない新生児の肌はとってもデリケート。顔や体の皮膚が乾燥してポロポロとむけることがあります。「保湿してるのになぜ皮がむけるの?」と心配になるママ・パパもいるかもしれませんが、これらの現象は「新生児落屑」と呼ばれる生理現象です。皮むけは自然な現象ですが適切なケアが大切。産後慌てずに済むよう、新生児期の赤ちゃんの体の特徴について代表的なものもあわせてご紹介します。
新生児の皮むけは心配いらない?いつまで続く?

生まれて間もない赤ちゃんの皮膚が乾燥してポロポロとむける様子を見ると、「保湿が足りない?」「何かの病気なのでは?」と心配になるママ・パパもいるでしょう。しかし、安心してください。これらは新生児に通常、生理現象として見られる「新生児落屑(しんせいじらくせつ)」と呼ばれるもの。病気でも異常でもありません。
生後2~3日後から、お腹や手足など全身に見られ、生後1~2週間ほどできれいにはがれて落ち着きます。通常、生後1か月頃には見られなくなります。
新生児の皮がむけるのはなぜ?皮むけの原因

生まれる前、赤ちゃんの肌はママのお腹の中で「胎脂」と「羊水」に包まれています。生まれた後は赤ちゃんの肌は無防備になり、外気に触れて乾燥にさらされることで、肌がポロポロと脱皮のように剥がれ落ちて、新しい肌が生まれてくるのです。
新生児が母体からでて初めて経験するのが空気との接触です。この環境の変化により、肌は新しい状態に適応しようと皮膚がむけるのです。皮むけは通常、数週間で終わりますが、その間は赤ちゃんの肌が新しい環境に適応していると考えてください。新生児の皮むけは成長の一部であり、特に心配する必要はありません。
皮むけの時は保湿しない?新生児落屑の正しいケア方法

新生児の皮むけは自然な生理現象なため神経質にならなくて大丈夫ですが、新生児の敏感な肌を守るためには、生まれてすぐからのスキンケアが欠かせません。
新生児落屑が見られる時期にも沐浴により肌を清潔に保ち、保湿をすることが重要。
洗う際はゴシゴシせず手やガーゼを使ってそっとやさしく洗います。タオルやスポンジはこすり刺激によって肌を傷付ける可能性があるため使うのは控えましょう。バスタオルでふくときもゴシゴシ拭かずに、やさしく包み込むように水分を拭き取ります。
また、皮は無理に剥がさず、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。無理に剥がしたりこすったりすると炎症などの肌トラブルの原因に。
特に入浴後は肌が乾燥しやすいので、ベビーローションなどでたっぷり保湿しましょう。入浴後だけでなく朝の着替えやおむつ替えのタイミング等、こまめな保湿を心がけると効果的◎下記のよくある忘れがちな個所も保湿してあげましょう。

新生児に保湿クリームはいつから塗る?

赤ちゃんの肌は、大人よりも薄く、肌を守るバリア機能も未熟。そのため、生まれてすぐから保湿剤で保湿ケアをしてあげることが大切。保湿剤は、ベビー用の無添加・低刺激のもので、できるだけ香料・着色料などの肌に刺激となりうる成分が配合されていないものがベストです。
「赤ちゃんに保湿はしないほうがいい」と聞いたことがあるママ・パパもいるかもしれませんが、 特に0~3か月までは乳児湿疹やおむつかぶれなど肌トラブルが起こりがち。
また、成育出生コホート研究におけるランダム化臨床研究介入試によると、新生児期(生後0日から28日未満)から保湿剤を塗ることでアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割低下したとの報告もあります。(※)
こんな症状がある時は受診の目安

通常、新生児落屑は時間とともに落ちつきますが、皮を無理に剥がしてしまい赤く炎症が起きてしまったり、ただれているなどの場合は、かかりつけや皮膚科の受診をおすすめします。特に、症状が長く続く、赤みやかゆみが見られる等の場合は、アレルギーや湿疹の可能性も考えられるため医師へ相談しましょう。
新生児落屑とよく似た「乳児脂漏性湿疹」って?違いは何?

新生児落屑とよく似た症状に、乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)という赤ちゃんによく見られる皮膚トラブルがあります。原因や対処法はそれぞれ異なるため注意が必要です。
脂漏性湿疹は生後2週間頃からあらわれることが多く、主に眉毛や頭皮、髪の生え際、鼻の下に黄色いかさぶた・ブツブツ・赤み・フケのようなものができるのが特徴。場合によってはかゆみが生じることも。生後間もない赤ちゃんはママからもらったホルモンによって皮脂分泌が一時的に盛んになります。これが原因で、頭や顔に皮膚がたまりやすく、炎症を起こすことがあります。軽症の場合は、日頃の自宅ケアで治ることが多いですが、かゆみがひどく、かきこわして、赤くジュクジュクするなどの場合は、小児科や皮膚科の受診をおすすめします。
一方、新生児落屑は、生後2日後くらいからみられる生理現象でほとんどの新生児に見られます。赤ちゃんの肌が乾燥し、表面の古い角質が自然にはがれ落ちる現象です。全身や手足に見られ、肌が白っぽくカサカサと乾燥しているのが特徴です。1~2週間ほどで落ち着き、時間の経過とともに自然に消失するため特別な対処は必要ありません。
乳児脂漏性湿疹の予防法は?
「洗浄&保湿」の2ステップが基本です。特に頭皮は皮脂分泌が多いため、ベビー用の全身洗えるシャンプーではなく、赤ちゃん専用の洗浄力があるヘアシャンプーがおすすめ。よく泡立てて指の腹で優しく洗いましょう。
大泉門(やわらかい部分)も怖がらずやさしく丁寧に洗いましょう。かさぶたがある場合は、オリーブ油やベビーオイルでふやかしてから洗うと除去しやすくなりますが、使用前に医師へ相談すると安心です。
その他の新生児に見られる代表的な特徴
新生児とは生後4週間未満の赤ちゃんのことを指します。この時期は大人とは違った体や肌の特徴をしているため、戸惑うママ・パパもいるかもしれません。しかし、多くの場合、赤ちゃんの時期にだけ特徴的に見られるもので病気やケガなどではありません。赤ちゃんの体の特徴で代表的なものを紹介します。
赤ちゃんの肌の特徴3つ

赤ちゃんの肌も生まれてすぐは大人と異なる特徴を持つため、驚くママ・パパもいるかもしれません。通常赤ちゃん特有の特徴なため過度に心配する必要はありませんが、赤ちゃんの肌の特徴を知って適切なケアをすることが大切です。
1. 生後2~3日は肌が黄色くなる
赤ちゃんの皮膚や白目が黄色くなる「新生児黄疸(しんせいじおうだん)」は、ほとんどの赤ちゃんによく見られます。生後2~3日頃に現れ、4~5日目をピークに自然と治まることが多く、10日〜2週間ほどで消えます。赤ちゃんの未熟な肝臓では、胎児の頃の赤血球から生じる「ビリルビン」という黄色い色素をうまく処理できないために起こります。
「母乳黄疸(ぼにゅうおうだん)」と呼ばれる黄疸でまれに数週間長引くことがありますが、こちらも心配する必要はなく、母乳を中止する必要はありません。
2. 生まれてすぐは皮脂分泌が盛んで顔がべたつきがち
赤ちゃんの肌は、生まれてしばらくはママから受け継いだホルモンの影響で、皮脂分泌が活発な状態。そのため、おでこや眉、頭皮に「新生児ニキビ」や「乳児脂漏性湿疹」ができやすくなります。
しかし、生後2〜3ヶ月頃になると皮脂の分泌量が急激に減少し、肌は一転して乾燥しやすい状態に。さらに赤ちゃんの皮膚は大人の約半分の薄さで、水分や皮脂をキープする力が未熟なため、一年を通じて乾燥しやすいのが特徴です。日々の保湿ケアが欠かせません。

3. 赤ちゃんは大人よりも汗っかき
赤ちゃんは新陳代謝が活発で、小さい体に大人と同じだけの汗腺があります。そのため汗腺の密度が高く、汗の量は大人の約3倍といわれています。さらに関節のくびれなどに汗がたまりやすく、あせもなどの肌トラブルを引き起こしやすいのが特徴です。
赤ちゃんの体の特徴

赤ちゃんによく見られる体の特徴についてもご紹介します。赤ちゃんのお世話が初めてのママ・パパもぜひ参考にしてください。
【目】生まれてすぐはぼんやりと見える程度
出産後数か月程度はまだしっかりとした視力は持っておらず、生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01~0.02程度。光の違いは分かるものの、ぼんやりとしか見えていません。20~50cmほどの距離なら見えるようです。2〜3ヶ月頃から徐々に見えるようになります。
【耳】胎児の時から音が聞こえる
赤ちゃんの聴覚は胎内にいる頃から発達しており、ママやパパの声もしっかり記憶しているといわれています。生後すぐでも音はよく聞こえるため大きな声に驚くことも。語りかけるときは顔を近づけてやさしい声で話しかけてあげましょう。また、耳掃除は気になる時に耳の入口付近を清潔にするだけで十分です。
【鼻】大人と同じくらいの鋭い嗅覚
赤ちゃんの嗅覚は胎内にいるときから発達しており、生まれた直後でも大人と同程度の鋭さを持っています。視力が未発達なぶん、匂いでママの母乳を識別できるほどだそう。
赤ちゃんは鼻の穴が狭く鼻づまりしやすいため、鼻水が出ていたらガーゼや柔らかいティッシュでそっと拭いてあげたり、綿棒を使う際は鼻の奥まで入れずに入口付近をケアしてあげましょう。拭いた後は保湿も忘れずに。
【口】上手におっぱいを吸える
赤ちゃんは生まれながらに「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」といって、赤ちゃんの口内に入ってきた乳首や指を無意識に強く吸うような反射を備えており、歯がない状態でも自然とママのおっぱいを吸うことができます。乳歯が生え始めるのは生後8〜10ヶ月頃が一般的。ちょうど離乳食を始める時期が歯磨きデビューの目安になります。
【頭】ぺこぺことへこんだ部分がある

赤ちゃんの頭にそっと触れると、頭が柔らかくへこんでいる部分があることに気づくかもしれません。これは、「大泉門(だいせんもん)」と呼ばれ、赤ちゃん特有の正常な構造です。赤ちゃんの頭蓋骨は複数の骨で構成されており、生まれたばかりの頃はまだ完全にくっついていないため隙間があります。
大泉門はその隙間の一部で、病気ではありません。大泉門を強く押したり頭をぶつけないように注意が必要ですが、頭を洗ったり撫でる際はやさしくふれる程度なら問題ありません。頭皮には皮脂腺が多く皮脂分泌も盛んなため、大泉門も怖がらずにやさしく丁寧に洗うことが大切です。
大泉門のサイズは成長とともに徐々に小さくなっていきます。個人差はありますが、通常は1~2歳頃にかけて自然に閉じていきます。過度に心配する必要はなく成長の一部として見守りましょう。
【手・足】腕はW字型、足はM字型の姿勢
腕はW字型、足はM字型が基本です。これは生後3〜4ヶ月ごろまで、伸ばす筋肉よりも曲げる筋肉のほうが強いためです。バタバタと手足をよく動かし、手は軽く握っていることが多いのも特徴。手のひらに指が触れると握り返す「把握反射(原始反射)」や、足を床につけると歩くような動作をする「原始歩行」など、生まれつき備わっている反射も見られます。
【おへそ】へその緒は自然と取れる
へその緒は何もしなくても生後1~2週間ほどで自然に取れるため、無理に引っ張らず、自然に取れるのを待ちましょう。へその緒の根本は細菌感染を防ぐために、お風呂上りは水分をしっかり拭き取りましょう。ケアや消毒の方法は産院で教わった方法で行いましょう。ケアはいつまで続けたらいいか迷う場合は、1か月健診の時などに医師に相談してみると◎
【お尻】青いあざがある
おしりにできる青色のあざは、「蒙古斑(もうこはん)」といって、生後1週から1ヵ月頃までに、日本人のほとんどの赤ちゃんに見られるものです。個人差はありますが、通常は3~6歳ごろまでに自然に消えます。おしり以外にも、腰や手首、顔などに出ることもあります。多くは自然に消えますが、色が濃い場合は長く残ることもあり、まれに大人になっても残る場合もあります。
気になる新生児のスキンケアQ&A

ママ・パパにとっては初めてのことだらけで悩むことも多いはず。ここでは、よくあるスキンケアのギモンにお答えします。
Q. 新生児は朝の顔は拭く必要があるの?
A. 朝起きたら大人が洗顔するのと同じように、赤ちゃんの顔を拭いてあげましょう。
寝ている間にホコリやよだれなど、以外と汚れが付くため、朝は濡らしたタオルでやさしく拭いて汚れを落とし、保湿ケアもしてあげましょう。
Q. 保湿のタイミングは?朝晩どっちがいい?
A. 保湿のタイミングは、朝晩1日2回が効果的◎お風呂上りは水分が蒸発して肌が特に乾燥しがち。お風呂上り5分以内を目安に保湿してあげましょう。また、眠っている間も乾燥しがちなため、朝の着替えのタイミングで全身保湿してあげましょう。
そのほか、おむつ替えのタイミングやお出かけ前後、授乳や食前・食後など乾燥が気になる時にこまめに保湿しましょう。
Q. 新生児にローションとクリームどっちがいいの?
A. 新生児の肌の状態や季節によって使い分けるのがおすすめ。ベビーローションは、水分が多く乾燥を防いでうるおいを与える役割があるのに対し、 ベビークリームやベビーオイルは油分が多く皮膚を保護する役割があります。
そのため、まずはベビーローションで肌をうるおし、乾燥する冬や気になる箇所には、ベビークリームをさらに重ね付けるのが効果的◎ベビーローションは毎日の保湿ケア、乾燥がひどい時にはベビークリームやベビーオイルをプラスで合わせ使いするといった使い方がおすすめです。
また、汗をかきやすい夏場はべたつきにくいローション、乾燥する冬場は油分の多いクリームやオイル、ワセリンをプラスするなど季節によって使い分けるのもよいでしょう。
Q. 赤ちゃんのアトピーの初期症状は?
A. 乳幼児のアトピー初期段階では 頭や顔にできる湿疹から始まり、その後お腹や背中、手足に広がっていく傾向が見られます。湿疹は左右対称に広がり、乾燥の次に赤くなり、病気の勢いが強いとぼつぼつしたり、かゆみが強くなります。経過が長いと、 皮膚がかたくなりゴワゴワしてくることもあります。
「新生児の皮むけ」は自然な生理現象!気にしすぎなくて大丈夫

新生児の皮むけは、「新生児落屑」と呼ばれるもので通常の生理現象であり過度に心配する必要はありません。しかし、日々のスキンケアで赤ちゃんのデリケートな肌を守り、健やかな状態に保つことは大切。
優しく洗って清潔にした後は、たっぷりの保湿を習慣にし、気になる症状があれば早めに医師に相談したり、1か月検診で健康状態を診てもらいましょう。赤ちゃんの特有の症状でも、不安に思うことがあればママや周りの先輩・ママ・パパに相談してみるのも良いでしょう。